奥菜恵離婚
今年の4月期のドラマの特徴といえば、『anego』と『曲がり角の彼女』という、いわゆる「負け犬」ブームに乗った作品が重なったことがすぐ思い浮かぶ。だが、僕はもう一つ、「IT長者」が登場する作品もよく見られたことも、挙げられるのではないかと思う。
『恋に落ちたら』はテーマ自体がそうだが、矢田亜希子主演の『夢で逢いましょう』にも出てきたし、『離婚弁護士Ⅱ』にも登場した。
そこで気になったのが、なぜドラマに出てくる「IT長者」とやらは、そろいもそろって“カネさえあれば何でもできると考えている拝金野郎”として描かれるのだろうか?ということなのだ。
ドラマだからステレオタイプなキャラクターを強調するのは当然なのだが、やはり、世の中全体からそう思われていることの現れなのだろうか。
ところである種の男にとって、アイドルと結婚するというのは、人生最高のゴールではないだろうか(大げさだな。僕がそうだという話なのだけれど)。
しかし、アイドルと結婚するというのは、自分もアイドルになるかプロ野球選手にでもならないと、できるものではない。
と、普通ならあきらめるところで、アイドルオタクボンクラ男子の光となったのが、秋元康氏の存在である。秋元氏といえば、80年代後半の芸能界を席巻した“仕掛け人”。バブル期当時の、本当にえらいのは、影で操っている人間だという風潮を呼んだ1人だ。実際の政財界を動かしているのは、箱根に住むフィクサーの老人だみたいな。
で、秋元氏は、失礼ながらあまりカッコイイとは言えない。その秋元氏が、おにゃんこクラブの高井真巳子と結婚したという報道に接し、「そうか、秋元康みたいになれば、アイドルと結婚できるのか!」と、当時のアイドルオタクボンクラ男子(僕)は考えたのである。バカですねえ。
同じ調子で大学を卒業する頃には、「テレビ局か電通に入れば、アイドルと結婚できるのではないか」に変わって、実際にそういった会社を受けたりしたものだ。ますますバカ。
だが、考えてみれば秋元康や電通マンになるのは、並大抵なことではなく、特別な才能が必要だ。いや、考えてみなくても普通すぐわかるのだが、そのことを就職活動で思い知らされて、僕はある中堅出版社に就職することになった。というか、そこしか雇ってくれなかった。
もっとも出版社というところも、アイドルに会うことはできる。取材とかで。でも、それは仕事の中だけの話だ。
なかには、女優さんと結婚したなんていう編集者もいるが、それはやはり特別な才能の持ち主なのであって、そんなものを持ち合わせていない僕には、無理な話だ。
というわけでいい加減あきらめていたところに聞いたのが、「奥菜恵が青年実業家と結婚」という報道であった。お相手は、進境著しいIT企業の社長という。その会社の名前は、恥ずかしながら聞いたことがなかった(今に至っても、不勉強ながら、「インターネット上の広告代理店」というビジネスがどういう風にお金をかせぐのか、実態としてはよくわかってないのだが)。
そこでまた、アイドルオタクボンクラ男子のなれの果て(僕)は、考えたのである。
そうか、起業して株式公開してお金持ちになれば、アイドルと結婚できるのか!と。
ますますもってバカなのであるが、僕は、この“起業してお金持ちになる”というのが、自分がアイドルになるとか、芸能界の仕掛け人になるとか以上に、低いハードルに思えたのだ。
特別な才能がなくても、カネさえかせげばいい、と。
実はこれは、すごく門戸の開かれた目標なのではないか。生まれ持った、神に与えられたような才能がなくても、努力すれば報われるとも言えるのだから。
カネでは愛を買えないと言うけれど、他に愛を示す手だてがなければ、カネで気を引こうとしてもいいのではないかと。
ああ、自分が一流企業の社員だったら、好きな女の子に給与明細を叩きつけてプロポーズするのになあ、と、99%は冗談だけど1%は本気で思ったりする。
そんなわけで最新の希望の星となった、サイバーエージェントの藤田晋社長が、このほど奥菜恵と離婚したという。
この世には、夢も希望もないのかと、落胆した僕であった。
ところで藤田社長に捧げたい言葉がある。
大槻ケンヂが「恋とはなんでしょう?」というエッセイ(『神菜、頭をよくしてあげよう』所収)で書いている、「こう思えば失恋はふっ切れる」という「魔法の言葉」だ。
「でも、やれたからいいか」
(と、いかにも藤田氏が奥菜に捨てられたような前提で書いてますが、実際は藤田氏の方から奥菜と別れようとしたのかもしれず、こういう書かれ方は藤田氏にはすごく心外かもしれないです。ご本人の目に触れることはないと思いますが、謝っておきます。ごめんなさい)











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