June 28, 2005

「自傷的自己愛」について

 精神科医の齋藤環氏が書いた、『「負けた」教の信者たち』(中公新書クラレ)を読んだ。
 まず書名に引きつけられた。
 さすがにうまい。

 本書の中の「はじめに」で、書名に掲げた「『負けた』教の信者」を定義して、齋藤氏はこういっている。

 彼らは、負けたと思いこむことにおいて、自らのプライドを温存しているのではないか。現状の自分を肯定する身振り、すなわち自信を持って自己主張することは、批判のリスクにまっさきにさらされてしまう。むしろ現状を否定することで、より高い理念の側にプライドを確保することが、彼らが「正気」でいられる唯一の手段なのではないか。その意味では、「負けたと思いこむ」こともまた、ナルシシズムの産物なのだ。「負けていない」と否認することによって、自らの「正気」すら手放してしまうのではないかという恐れが、彼らをして「負け」に固執させてしまう

Continue reading "「自傷的自己愛」について"

| | Comments (1) | TrackBack (1)

February 27, 2005

おたくはなぜ“俺”と言うのか?

 前から思っていたのだが、おたくは「俺」という一人称がそぐわない場(たとえば、堅い仕事の打ち合わせの席とか)で、自分のことを「俺」と言う気がする。
 逆に、自分のことを「私」と言うおたくには、あまり会ったことがない。
 なぜだろう?

| | Comments (0) | TrackBack (0)

January 17, 2005

オタク会話の謎

 オタクという人種は、会話の中で、突然ヘンなことを言い出すものだと前々から思っていたのだが、それを裏付けるいい例を見つけた。
 以下、ソーシャルネットワーキングサイト「mixi」で公開されている、“モテない病をこじらせたヘビー級オタクからの告白に揺れるキャリア系女子”「アルテイシアさん」の日記から。

59「セカチューって流行ってるけど何?映画?ドラマ?本?」
アル「・・・ええと、全部」
59「どういう話なの?」
アル「好きな女の子が白血病で死ぬんだよ」
59「白血病・・・
アルテイシアさん!もし死ぬなら白血病じゃなくって、悪の組織に殺されてください!それなら復讐できるから!」

「59」というのが、そのヘビー級オタクの彼のこと。アルテイシアさんに告白してきた59番目の男ということらしい。

 この会話、一読して爆笑しました。
 自分が言いそうで……じゃない、オタクっていかにもこういうこと言いそうだから。
 僕も気を付けなければ。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

November 17, 2004

オタク・アンド・ザ・シティ

satc.jpg
 周りで評判になっていた『セックス・アンド・ザ・シティ』を借りてきた。酒井順子さんによると、「もしかして私達の会話を聞いていたのか?」と思うほどの、負け犬ストーリーの決定版だという。
 それで気負い込んで見始めたものの、どうも入り込めなかった。まあ、ニューヨークを舞台にキャリア女性たちがパーティーとセックスに血道を上げる、という内容にはまれないというのは男としては当たり前の話なのかもしれない。でも、次のような話があったらどうだろう。
 “秋葉原を舞台に、アニメとゲームと美少女のことばかり考えているおたく達を描く、『オタク・アンド・ザ・シティ』”。
 これなら僕も、これは自分のことを描いていると思うに違いない。

 こんなことを書いたのは、前回の日記の続きで、おたく男と負け犬女性のカップリングは成立するか?という大問題を考えるためだ。
 以下『負け犬の遠吠え』をもとに、これについて考えていこう。

Continue reading "オタク・アンド・ザ・シティ"

| | Comments (1) | TrackBack (0)

November 15, 2004

負け犬女性とおたく男は結ばれるのか?

 『AERA』11月22日号に次のような記事が掲載されていた。

current.jpg
『電車男』読む女の恋愛熟度――オタク男の純粋さに感激
ついに本になったアキバ系オタク青年の純愛物語「電車男」。
30万部を超える読者の半数近くは女性だという。

 記事の内容は、「電車男」を読んだ“負け犬”女性のなかから、オタク男を見直したという声が上がっているというもの。さすがは“負け犬”雑誌『AERA』、いいところに目をつけたものだ。

 記事そのものは、いささか牽強付会にすぎる部分もあって、たとえば恋愛事情に詳しい白河桃子さんなるライター氏が、「エルメス」は「負け犬」ではないか、という仮説のもとに、次のようにコメントしている。

「『エルメス』は、恋愛経験が豊富で余裕がある。不器用ながら純粋に自分に向かってくる電車男を、うまく導いた。これは負け犬ならではの余裕。オタクでも、柔軟さを見につけていた人なら、十分恋愛対象になる」
 ……アンタちゃんと読んだの? 「エルメスが恋愛経験が豊富」って、普通に読めば、エルメスも恋愛スキルが未熟でけっこうボケてる部分も多いじゃん。そもそも、エルメスを「負け犬」とすること自体、酒井順子の『負け犬の遠吠え』をまったく理解してないぜ。
 
 というのはともかくとして、記事が投げかけている「負け犬女とおたく男のカップリングはあり得るのでは?」という問いは、重要ではないかと思うのだ。(つづく)

| | Comments (0) | TrackBack (0)